F1日本GP
2007年 09月 30日
第15戦・日本GP決勝
[富士スピードウェイ(1周4.563km)]
1966年にオープンした歴史あるサーキット。1976年、77年にF1日本ラウンドが開催され、2005年のリニューアル・オープン後、初、30年ぶりの開催となる。大改装によりほぼすべてのコーナーが一新され、近代的なサーキットに生まれ変わったが、旧コースの特徴でもあった約1.5kmの超ロング・ストレートは健在。
サーキットは朝から雨が降り続き、路面には水が溜まっている。気温17℃、路面温度22℃の超ウェット・コンディション。
前日のフリー走行前にエンジン交換を行なったN・ロズベルグが10グリッド降格のペナルティで16番グリッドへ。また、V・リウッツィはピット・スタートを選んでいる。
雨のため、決勝は異例のセーフティ・カー先導でスタートする形となった。この日は、全マシンがエクストリーム・ウェザー・タイヤの装着を義務づけられていた。しかし、ドライバーズ・ポイントでマクラーレンの2人を追うフェラーリは、事前にこのルールを承知しておらず、通常のウェット・タイヤを履いていた。このためセーフティ・カー誘導中の2周目にF・マッサ、3周目にK・ライコネンがそれぞれピットに入り、エクストリーム・ウェット・タイヤへ交換、給油を行なう。マクラーレンが1位2位を走行する中、フェラーリは20番手、21番手と大幅に順位を落としてしまう最悪の状態でセーフティ・カーのランプが消えるのを待つ。
また、レース序盤、スピンした後にN・ハイドフェルドをかわしたとして、マッサはドライブスルー・ペナルティーを受ける。
セーフティ・カーのランプが消え、レースは20周目にスタート。しかし、その直後、A・ブルツがスピンを喫し、マッサと接触したため、イエロー・フラッグ。上位3台は、L・ハミルトン、F・アロンソ、S・ベッテル。
22周目、佐藤琢磨がピット・ストップを行なうと、給油口から炎が吹き上がる。幸い火は消え、佐藤はコースへ復帰。順位を落としていたライコネンは、後方から10位まで追い上げる。28周目以降にハミルトン、アロンソがピットへ向かい、ベッテルが自身初のラップ・リーダーとなる。
マクラーレンが第2スティントに入ると、3位でコースに戻ったハミルトンとR・クビサが接触。両者に大きなダメージはなかったが、その直後に今度はアロンソとベッテルが接触。この隙にベッテル、ライコネンがアロンソを交わし前に出る。アロンソはマシンを破損するも、走行を続けていく。それまでピット・ストップを行なっていなかったマシンがピットに向かうと、ハミルトンがトップに復帰。ライコネンは再度のピット・ストップを行なったため、またしても順位を落としポイント圏外へ。
しかし42周目、アロンソがヘアピン手前で、単独のウォール・クラッシュ。破片が飛び散り、再度のセーフティ・カー導入となる。ピット・ロードがオープンとなり、各マシンがピット・ストップを済ませていく。上位はハミルトン、M・ウェーバー、ベッテルに。ところが46周目、ウェーバーにベッテルが衝突、両者リタイアとなる。2人は初の表彰台が期待されていただけに残念な結末となった。
49周目にレースが再開され、トップのハミルトンは一気に後続を引き離していく。2位H・コバライネン、3位のマッサ、4位D・クルサード。ライコネンはハイドフェルドらを交わし、5位まで浮上。更にクルサードもオーバー・テイクし、マッサの背後に着く。ここでマッサが最後のピット・イン。ライコネンは3位となり、前方のコバライネンに迫っていく。また、マッサも残り少ない周回で追い上げを見せる。
ハミルトンは十分なギャップを築き、大波乱のレースでポール・トゥ・ウィン。ハンガリーGP以来4戦ぶりの勝利で、1996年のジャック・ビルヌーブ(ウィリアムズ)に並ぶ新人最多のシーズン4勝目を挙げ、ドライバーズ・タイトル獲得に大きな一歩を踏み出した。マクラーレンは、イタリアGP以来2戦ぶり今季8勝目。
初の表彰台がかかるコバライネンは、ライコネンの猛追を抑え2位を死守。ルノーに今季初の表彰台をもたらした。ライコネンは僅かに届かず3位フィニッシュ。また、ファイナル・ラップでマッサとクビサが激しい6位争いを演じ、チェッカー直前にマッサがクビサをオーバー・テイクし6位でフィニッシュ。
8位でゴールしたV・リウッツィは自身とチームに今季初のポイントをもたらした。
アロンソは17戦ぶりのリタイア、ノーポイントに終わり、ドライバーズランキングで首位ハミルトンとの差は12ポイント。タイトル争いに大きく遅れをとり、次戦中国GPでハミルトンが初タイトルを決める可能性が出てきた。ランキング3位のライコネンもハミルトンから17ポイント差と、僅かながらタイトル獲得の可能性を残している。
【結果】
1:■■L・ハミルトン
2:■■H・コバライネン
3:■■K・ライコネン
4:■■D・クルサード
5:■■G・フィジケラ
6:■■F・マッサ
7:□■R・クビサ
8:■■A・スーティル
【ドライバーズ・ポイント】
1:■■L・ハミルトン(107)
2:■■F・アロンソ(95)
3:■■K・ライコネン(90)
4:■■F・マッサ(80)
5:□■N・ハイドフェルド(56)
6:□■R・クビサ(35)
7:■■H・コバライネン(30)
8:■■G・フィジケラ(21)
【コンストラクターズ・ポイント】
1:■■スクーデリア・フェラーリ・マールボロ(170)
2:□■BMWザウバーF1チーム(92)
3:■■INGルノーF1チーム(51)
4:□■AT&Tウィリアムズ・チーム(28)
5:■■レッドブル・レーシング(23)
6:□■パナソニック・トヨタ・レーシング(12)
7:■■HondaレーシングF1チーム(6)
8:■□SUPER AGURI F1チーム(4)
9:■■エティハド・アルダー・スパイカーF1チーム(1)
【ライコネン・コメント】
「殆ど視界ゼロの中でレースをしたよ。最も厄介だったのは、他のドライバー達が何処にいて何をしているのかを見極めることだった。僕のレースは3周目にピット・ストップを強いられたことで、台なしになってしまった。スタンダード・ウェット・タイヤでのスタートを選択していたんだけど、今となってはこの判断が報われたかどうかはわからないね。集団の後ろにつくと直ぐ、僕たちは全力で挽回しようと頑張った。まあ、3位は文句をつける結果ではないね。僕はとても難しいコンディションの中で常に何度もオーバー・テイクを成功させた。僕らのセット・アップはドライ・コンディションの方がより競争力が発揮できたかもしれないけど、それでもマシンはとても速かったし、この選択によってタイム・ロスしていなかったことは確かだよ。明らかに今ではチャンピオンシップにおける状況はずっと厳しいものになってしまったけど、僕はシーズン終了まで全力を尽くすつもりだよ。いつものようにね。」
▽Pick Up▽
今日は、表彰台が見えつつもベッテルの追突によりリタイアに終わったM・ウェバーのコメント。
【ウェバー・コメント】
「まったく酷い終わり方だった。今日は本当に好調で、初めてルイスにチャレンジすることができた。僕たちは強かった。トリッキーなコンディションで、クルマはアクアプレーニングを起こしていたし、視界も悪かったが、僕はミスを犯すこともなかった。フェルナンドのクラッシュで2回目のセーフティ・カー導入となり、また、多くのクルマが数珠つなぎ状態になった。それがよくなかった。レースの最後まで走り続けたかったよ。1回目のセーフティ・カー導入時も、僕の後ろにいたベッテルは少しワイルドだったが、その後の2回目のセーフティ・カーの時には後方から僕に突っ込んできた。今日は、彼にとってはいい経験になったと思うよ。」
[富士スピードウェイ(1周4.563km)]
1966年にオープンした歴史あるサーキット。1976年、77年にF1日本ラウンドが開催され、2005年のリニューアル・オープン後、初、30年ぶりの開催となる。大改装によりほぼすべてのコーナーが一新され、近代的なサーキットに生まれ変わったが、旧コースの特徴でもあった約1.5kmの超ロング・ストレートは健在。
サーキットは朝から雨が降り続き、路面には水が溜まっている。気温17℃、路面温度22℃の超ウェット・コンディション。
前日のフリー走行前にエンジン交換を行なったN・ロズベルグが10グリッド降格のペナルティで16番グリッドへ。また、V・リウッツィはピット・スタートを選んでいる。
雨のため、決勝は異例のセーフティ・カー先導でスタートする形となった。この日は、全マシンがエクストリーム・ウェザー・タイヤの装着を義務づけられていた。しかし、ドライバーズ・ポイントでマクラーレンの2人を追うフェラーリは、事前にこのルールを承知しておらず、通常のウェット・タイヤを履いていた。このためセーフティ・カー誘導中の2周目にF・マッサ、3周目にK・ライコネンがそれぞれピットに入り、エクストリーム・ウェット・タイヤへ交換、給油を行なう。マクラーレンが1位2位を走行する中、フェラーリは20番手、21番手と大幅に順位を落としてしまう最悪の状態でセーフティ・カーのランプが消えるのを待つ。
また、レース序盤、スピンした後にN・ハイドフェルドをかわしたとして、マッサはドライブスルー・ペナルティーを受ける。
セーフティ・カーのランプが消え、レースは20周目にスタート。しかし、その直後、A・ブルツがスピンを喫し、マッサと接触したため、イエロー・フラッグ。上位3台は、L・ハミルトン、F・アロンソ、S・ベッテル。
22周目、佐藤琢磨がピット・ストップを行なうと、給油口から炎が吹き上がる。幸い火は消え、佐藤はコースへ復帰。順位を落としていたライコネンは、後方から10位まで追い上げる。28周目以降にハミルトン、アロンソがピットへ向かい、ベッテルが自身初のラップ・リーダーとなる。
マクラーレンが第2スティントに入ると、3位でコースに戻ったハミルトンとR・クビサが接触。両者に大きなダメージはなかったが、その直後に今度はアロンソとベッテルが接触。この隙にベッテル、ライコネンがアロンソを交わし前に出る。アロンソはマシンを破損するも、走行を続けていく。それまでピット・ストップを行なっていなかったマシンがピットに向かうと、ハミルトンがトップに復帰。ライコネンは再度のピット・ストップを行なったため、またしても順位を落としポイント圏外へ。
しかし42周目、アロンソがヘアピン手前で、単独のウォール・クラッシュ。破片が飛び散り、再度のセーフティ・カー導入となる。ピット・ロードがオープンとなり、各マシンがピット・ストップを済ませていく。上位はハミルトン、M・ウェーバー、ベッテルに。ところが46周目、ウェーバーにベッテルが衝突、両者リタイアとなる。2人は初の表彰台が期待されていただけに残念な結末となった。
49周目にレースが再開され、トップのハミルトンは一気に後続を引き離していく。2位H・コバライネン、3位のマッサ、4位D・クルサード。ライコネンはハイドフェルドらを交わし、5位まで浮上。更にクルサードもオーバー・テイクし、マッサの背後に着く。ここでマッサが最後のピット・イン。ライコネンは3位となり、前方のコバライネンに迫っていく。また、マッサも残り少ない周回で追い上げを見せる。
ハミルトンは十分なギャップを築き、大波乱のレースでポール・トゥ・ウィン。ハンガリーGP以来4戦ぶりの勝利で、1996年のジャック・ビルヌーブ(ウィリアムズ)に並ぶ新人最多のシーズン4勝目を挙げ、ドライバーズ・タイトル獲得に大きな一歩を踏み出した。マクラーレンは、イタリアGP以来2戦ぶり今季8勝目。
初の表彰台がかかるコバライネンは、ライコネンの猛追を抑え2位を死守。ルノーに今季初の表彰台をもたらした。ライコネンは僅かに届かず3位フィニッシュ。また、ファイナル・ラップでマッサとクビサが激しい6位争いを演じ、チェッカー直前にマッサがクビサをオーバー・テイクし6位でフィニッシュ。
8位でゴールしたV・リウッツィは自身とチームに今季初のポイントをもたらした。
アロンソは17戦ぶりのリタイア、ノーポイントに終わり、ドライバーズランキングで首位ハミルトンとの差は12ポイント。タイトル争いに大きく遅れをとり、次戦中国GPでハミルトンが初タイトルを決める可能性が出てきた。ランキング3位のライコネンもハミルトンから17ポイント差と、僅かながらタイトル獲得の可能性を残している。
【結果】
1:■■L・ハミルトン
2:■■H・コバライネン
3:■■K・ライコネン
4:■■D・クルサード
5:■■G・フィジケラ
6:■■F・マッサ
7:□■R・クビサ
8:■■A・スーティル
【ドライバーズ・ポイント】
1:■■L・ハミルトン(107)
2:■■F・アロンソ(95)
3:■■K・ライコネン(90)
4:■■F・マッサ(80)
5:□■N・ハイドフェルド(56)
6:□■R・クビサ(35)
7:■■H・コバライネン(30)
8:■■G・フィジケラ(21)
【コンストラクターズ・ポイント】
1:■■スクーデリア・フェラーリ・マールボロ(170)
2:□■BMWザウバーF1チーム(92)
3:■■INGルノーF1チーム(51)
4:□■AT&Tウィリアムズ・チーム(28)
5:■■レッドブル・レーシング(23)
6:□■パナソニック・トヨタ・レーシング(12)
7:■■HondaレーシングF1チーム(6)
8:■□SUPER AGURI F1チーム(4)
9:■■エティハド・アルダー・スパイカーF1チーム(1)
【ライコネン・コメント】
「殆ど視界ゼロの中でレースをしたよ。最も厄介だったのは、他のドライバー達が何処にいて何をしているのかを見極めることだった。僕のレースは3周目にピット・ストップを強いられたことで、台なしになってしまった。スタンダード・ウェット・タイヤでのスタートを選択していたんだけど、今となってはこの判断が報われたかどうかはわからないね。集団の後ろにつくと直ぐ、僕たちは全力で挽回しようと頑張った。まあ、3位は文句をつける結果ではないね。僕はとても難しいコンディションの中で常に何度もオーバー・テイクを成功させた。僕らのセット・アップはドライ・コンディションの方がより競争力が発揮できたかもしれないけど、それでもマシンはとても速かったし、この選択によってタイム・ロスしていなかったことは確かだよ。明らかに今ではチャンピオンシップにおける状況はずっと厳しいものになってしまったけど、僕はシーズン終了まで全力を尽くすつもりだよ。いつものようにね。」
▽Pick Up▽
今日は、表彰台が見えつつもベッテルの追突によりリタイアに終わったM・ウェバーのコメント。
【ウェバー・コメント】
「まったく酷い終わり方だった。今日は本当に好調で、初めてルイスにチャレンジすることができた。僕たちは強かった。トリッキーなコンディションで、クルマはアクアプレーニングを起こしていたし、視界も悪かったが、僕はミスを犯すこともなかった。フェルナンドのクラッシュで2回目のセーフティ・カー導入となり、また、多くのクルマが数珠つなぎ状態になった。それがよくなかった。レースの最後まで走り続けたかったよ。1回目のセーフティ・カー導入時も、僕の後ろにいたベッテルは少しワイルドだったが、その後の2回目のセーフティ・カーの時には後方から僕に突っ込んできた。今日は、彼にとってはいい経験になったと思うよ。」
by Dicco
| 2007-09-30 15:31
| スポーツ・文化